工事に参加してみよう。そう思った時、どんな事ができるのでしょうか。まずは、どんな素材があり、その素材の特徴を知ることから・・・。

そんな方の手助けになるページになればいいかなと、少しずつ作りあげていこうと思います。

左官材

左官材と呼ばれる材料は、さまざまな仕上げがあり、技能を要する職種でもある。でも、子供が砂遊びが楽しいのと同じように、土や泥のようなものにまみれて何か形づくるのは楽しいものです。精度を求めない仕上げ方であれば、自分や家族とともに塗ってみてはいかがでしょうか。たくさんある左官材ですが、その一部をご紹介します。

モルタルリシン掻き落とし
モルタルリシン掻き落とし

モルタルをコテで仕上げた後、表面の乾燥をみながらワイヤーブラシで掻き落とします。着色モルタル。ホワイトセメントを使えば、色を調整できます。

漆喰(しっくい)
漆喰(しっくい)

日本の伝統的仕上げ材。調湿をしてくれるので、体に優しい素材です。写真の「なまこ壁」は、平瓦を壁に張った後、継ぎ目の目地へ漆喰をかまぼこ状に塗るようです。みんなでつくるのであれば、このなまこ壁のような見直されてもよい伝統工法はたくさんあるように思います。

 

土壁
土壁

海外でも土壁は多く見られますが、土壁は、日本の伝統仕上げのひとつ。もろいイメージがありますが、消石灰やにがりを混ぜてあげるとすごく硬くなります。これから見直される素材のひとつのように思います。

土壁(版築)
土壁(版築)

型枠を組んだ後に、1層、1層丁寧に木や足で踏み固めて仕上げていく工法です。非常に、手間の入る工法ですが、できあがった縞模様は、すばらしいです。法隆寺の塀などに使われています。

天然水硬性石灰(NHL)
天然水硬性石灰(NHL)

ローマのパンテオンをはじめとする西欧の仕上げには水硬性石灰というものを塗っている。

日本の消石灰でつくる漆喰と違い、つなぎ材(糊剤や繊維材)がなくても石灰岩に戻るためノンケミカルな素材と言えます。

砂などの骨材と混ぜ合わせることで石灰モルタルとして、従来のセメントモルタルのように使うことができます。西欧の重みを感じる素材ですね。

塗装

塗料の種類も膨大にあります。その塗料ごとに性質も施工方法も異なるので、簡単そうでいて、とても奥が深い材料です。しかし、ある程度その性質を理解すれば、だれでも容易に塗ることができ、いつでも模様替えやメンテナンスを行える材料と言えます。ほんの一部をご紹介します。

柿渋
柿渋

平安時代より使われてきたと言われる漆と並ぶ日本固有の材料。防水・防虫・防腐効果を期待して、和紙・布・桶・網など広く利用されてきた。化学塗料に比べると、性能は落ちますが独特の風合いは、すごくいいものです。上品なものを生渋。灰や墨と混ぜているものを渋墨といい色合いが異なります。

木に塗るのは、布に湿らせて雑巾がけするように簡単に塗ることができ、塗り重ねるたびに色合いが濃くなっていきます。

写真は、布に柿渋を塗ったものです。

渋墨
渋墨

外壁や塀に使われてきた材料です。刷毛や布で簡単に塗ることができます。1回塗るだけでかなり黒くなります。

蜜蝋
蜜蝋

木の表面保護材として、使用します。布やスポンジなどで塗るため、誰でも容易にできます。ほんのり木に艶がでるような感じです。

アイアン塗料
アイアン塗料

鉄製品、アルミ、木材、プラスチックなどに塗り屋内外ともに塗れます。リノベーションの際には、既存のアルミサッシや取っ手など金属部分が完成時に気になります。そんな時には、これはいいです。

ホタテ貝殻塗料
ホタテ貝殻塗料

ホタテ貝殻が原料の塗料です。写真の模様は、既存クロスの模様です。クロスの上からローラーという道具を使って塗ります。既存のクロスの上から、容易に塗ることができるのがいいです。

木は、日本人にとって昔から慣れ親しんだ素材である一方、工業化された住宅が大量に生産されたことから近いようで遠い存在でもあります。たくさんある木材ですが、その一部をご紹介します。

杉

杉は、柔らかい木です。フローリングに使用すると、素足で生活する日本人にとっては、踏み心地がとてもよいです。柔らかいため、傷がつきやすいですが、傷を経年とともに味わいあるものと感じる方にはおすすめの木です。

ひのき
ひのき

日本を代表する木材。水にも虫にも強く、耐久性よい上に、加工性もよい素材です。節がないものは非常に高いですが、節を許容すれば、安価に使用することもできます。

ひのきから放たれる香りは、とてもいいです。

中古杉足場板
中古杉足場板

すべてが新品では、物足りなくなっている人には、おすすめの素材。建設現場で使われたものが、さらに命を吹き込まれて、どこかの家に使われるなんて、いいですね。古材の人気が高いためか、新品よりも中古の方が高いんです。間伐材である足場材。どんどん使われることは、いいことですね。

北米古材
北米古材

古材でも、日本で取れるものと海外から輸送されてくるものがある。写真のものは、北米で100年ほど経過した荒々しさを持っている。

船などで輸送するからには、それなりにエネルギーを消費し、CO2も撒いてきた素材。けれども・・・人間は欲望あってこそ・・・という考えもある。

こういう素材は、家具や棚といったポイントにちょっとだけ使いたい。

 

構造用合板
構造用合板

家になどお金をかけずに、教育や趣味などにお金を使うようにした方がよいという考え方がある。使い方によっては、この安い下地として使われてきた素材をそのまま仕上とみなしても、美しく見える(簡素を貫く手法など)。

節が少ないインテリアラーチ合板と呼ばれるものもあります。

焼杉
焼杉

焼杉は、昔の建物にはよく使われていた手法です。あらかじめ表面を焦がし、炭化状にしておくことで初期の着火性を低くし、耐火性能を持たせます。また、風雨にさらされる杉板の耐久性を高める役割もあります。

金属

現代の住宅には、非常によく使われます。ここでは、そのいくつかをご紹介します。

銅板
銅板

銅は、建築においてはお寺などの屋根に使われることが多い。錆びると緑青(ろくしょう)と呼ばれる膜をつくりそれが銅の腐食を防いでくれます。

鉄筋 丸鋼
鉄筋 丸鋼

写真のような鉄筋は、現代の建築には用いられない。昔、使われていた丸鋼と呼ばれる鉄筋です。現在使われている異形鉄筋には、品がないのだけれど、この丸鋼には、品があるように思うのです。非常に安価な上に加工性もよいです。

石は近年の工業化された住宅には、あまり使われることがない。しかし、家にひとつも石がないのは、少し日本人としては、さびしくはないか。その歴史や精神を感じさせてくれる石があると、家は豊かになるように思うのです。

桂離宮 石
桂離宮 石

外部のアプローチを暗示する飛び石という手法は、よく用いられます。

レンガを積んでできた本棚
レンガを積んでできた本棚

レンガというと、日本では花壇や舗装路など外構で使われるイメージが強い。しかし、写真のように無造作にレンガを積んでその上に木材を載せるだけといった簡易な作り方もある。外国では、レンガは、積み上げて使うものなのだ。それを思い出させてくれる写真。

 

障子に代表されるように、昔から身近に使われていた素材です。非常に軽く、切ったりくっつけたりと加工性も高いので、みんなでつくる家づくりには、アイデア次第で可能性を感じる素材です。

その他

もっと自由に、既成概念を取り払えることができるなら・・・

海に行けば、落ちている貝殻もその気になれば、ランプシェードになる。優しい光がこぼれてきます。なんでもお金をかけて、買うという行為で済ませるだけが家づくりではありません。もっと自由になりたい。消費行動からできるだけ、逃れたい。