見る事はできない。建築

絵画は独りでも描くことはできる。しかし、建築は、どんなものでも多数の人の知恵や技術ではじめて成り立つ構築物なのである。だから、関わり合う人々に敬意を払いながら、知恵や技術を借りながら作ることが大切なのだといつも心に思う。

建築家とは、何であろう。

昔、王様が権力を握っていた時代には、建築物は、民衆にその権力を示すのに大いに役に立った。

しかし、もう世界に権力を必要とする王様は、居ない。

また、目に見えなくても建築物はある。関係をつくること自体が建築でもあるから。

AさんとBさんが、友達になった。これも、建築である。

AさんとBさんが、喧嘩して別れた。これは、解体である。

つまり、何かの関係をつくることが全て建築であると気づけば、何も莫大の費用をかけて権力や欲望を刺激する必要もなく、「見えない透明な建築」ができるのだと思う。

だから・・・この世で一番美しくて、すばらしい建築物は、見る事ができない。みんなが気づいていないところ、身近なところにあるように思うのである。